簡単2

とある駅構内の喫煙所にて

「あれ?お前変なタバコ吸ってんね」
話しかけてきたのは、誰がどう見ても、天変地異が起こっても起こらなくても、明日の天気が晴れでも雷雨でも、白飯には生卵派でもふりかけ派でも、見まごう事なき、猿でした。
あれ?って言いたいのは僕のほうであって、僕が喫煙所に入ったときは確かに誰もいなくて、でも今目の前の、喫煙用煙吸取り機みたいな仰々しいグレーの縦長ボックスの箱の上には確かに猿がいて、生意気に胡坐まで。
いつからそこにいんの?
って訊いたら、や、今来たトコ。天井にはりついてた。って猿。
でもね、はりついてたのは今はどちらかというと、どうでもよくって、今現在、いや、日本人というものが誕生して今までにおいても重要事項であり、僕がこの先この猿と向き合ってタバコを吸い終わる5分かそこらにおいて最も確かにしておかなければならないこと。
それは
「あのさ、なんで日本語しゃべってんの?」
猿なんだから、お前はさ。おかしいでしょ。猿は本来、キーなわけ。ステレオタイプおちゃらけ野郎ならウキーかな。
それくらい、3歳児だって知ってるし、もっというと3歳児は恐ろしく俊敏。まるで猿みたいにね。
いや、猿みたいな3歳児については後においといて、今は僕の目の前の猿。
こいつが重要人物。じゃなくって猿物。
「そんなことはどうだって良いじゃん。それより変なタバコ吸ってんね」
あのね、コイツ、全然人の話聞かない。
バナナ食いだした。
そりゃ猿だからさ、当たり前だけさ。でも、コイツの場合日本語喋ってるし、一概に猿っていうカテゴリ分けしちゃっていいの?ねえ。
「ハイライトメンソールがそんな珍しいかよ」
もうさ、やけくそになりますよ。僕だって。
何が楽しくて、最近、矢鱈滅多ら肩身の狭い(たぶん2センチあるかないかだよね)喫煙者の僕が、唯一の憩いのひとときタイムを猿と面と向かって過ごさなきゃなんないの。
天罰かな、ってちょっと思ったんだけど、僕は喫煙以外は健康志向のエリートでは無い方のサラリーマンで24歳ですし、虫も殺したことの無い乙女を性転換させたみたいなモヤシ野郎なんだから、天罰なんてもってのほか。
それでも目の前には猿。
夢かしらって、ほっぺをつね
イテっ夢じゃない。いっそ夢ならね。もしくはこの有害そのものの煙と一緒に全部かききえてしまえばいい。
「くれよ、一本」
猿、ずうずうしい。
日本語、喫煙、ずうずうしい
これは完全に猿じゃない。猿のようなずうずうしい、おっさんだ。毛むくじゃらの。
でもさ、ほらよって一本やったの。火までつけて。ライターののジャリって音が僕をバカにしてる気がしたけど。まあひっかかれるのが怖かっただけ。
猿、余裕の表情で煙を肺いっぱい吸い込んで
むせた。
あははははは。なんだよ、馴れてねえでやんの。お前は中学生かって。
イテっ
笑ってたらひっかかれた。咳き込みながら。
「変なタバコ吸ってんじゃねえよ。そして寄越すんじゃねえ」
猿、理不尽。理不尽極まりない、猿。
僕、「すいません」だって。なんで謝ってんの。悪くないよね、僕はさ。
そしたら、丁度僕のタバコもフィルター引火寸前終了間近。キリいいよね。
「じゃ、これで」
喫煙所の扉にてをかけた僕の背後から、猿。
「次はもっとましなの持って来いよ」
持ってくるかよ。お前なんかバナナの皮の裏側のとこ乾燥させて、偽大麻とかいってりゃいいんだ。
扉をしめて、外に出る、ツカツカツカツカツカツカツカ。歩いて喫煙所の反対側まで。
ポケットからタバコを一本くわえる。もちろんライターでジャリッ。今度は良い気分。
禁煙の駅だってかまやしない、僕は安息が欲しいんだ。
一息に吸い込んだ。
「お前、変なタバコ吸ってんね」
目をあげた。嘘でしょう、今度は象かよ。

あはははは、なんでもっと早く禁煙してなかったんだろ。











今日は朝に奥さんが握ってくれた塩むすびを持参して、近所の団地の中にある(通称)ジャンボ公園にやってきましたよ。イジー君も持参です。ここの近くに物凄い美味しいサバ味噌を売る惣菜屋さんがありまして、おむすびに良くあいます。食後に洗った手を2枚のハンケチーフで拭いていたらイジー君にドヤされました。怖いっではっ

バングルスのマニックマンデーはたまにすごく聴きたくなります。