サラフィナ

ある古株レスラーの日記

1月1日

パワーボムってスゲー痛いんだぜ。今日、弟に食らわせたらそういってたから間違いない。アイツは東大出てるから信用できる。うん。
そんなことより、今日、町でギャル曽根を見た。
よく見たら地蔵だった。残念。


1月2日

ブレーンバスターは受身の取り方次第でなんとかなるらしい。
あ、これも弟情報ね。すげえなアイツ、理論派ぶりやがって。
今度は垂直落下で落としてやる。
今日も町でギャル曽根をみかけた。
やっぱり地蔵だった。残念。

1月3日

サルも木から落ちるって言うけど、その木って実はすごいヌルヌルしてんじゃないか?て疑問がわいた。
弟いわく、「あんちゃんは木に登る前から落ちてるよね」だってさ。
あの野郎、嬉しい事いってくれるじゃねえか。垂直落下式はもう止めてやろう。
今日、外人レスラーのモヒカンが「ギャル曽根をみた!」と騒いでいた。
バカめ、あれは地蔵だ。

1月4日

ショックだ。モヒカンはどうやら本物のギャル曽根を目撃してたらしい。
サイン色紙をみると「シルベスタスタローン」と書いてあった。
どっちにしろ羨ましい。

1月5日

試合初め。
モヒカン99号の納豆スープレックスにやられた。
悔しいが、仕方ない。それにしてもモヒカンは何号までいるんだ?
試合後、モヒカンの女友達を紹介してもらう。
待ち合わせ場所には地蔵がいた。
ショックだ。
家に帰って弟に垂直落下式のパワーボムを食らわせた。
地蔵は、捨てた。





「あれー!もしかして(言うなればもしかして)ですけど坂之上田村麻呂さんじゃないっすか!?」

「おーう、あ、ちょっとカメラやめてくれる?フラッシュで目とか潰れるから」

「あ、スンマセンでした。でもこれカメラじゃなくてお豆腐なんですよ」

「マジで?すごいカメラじゃん。見た目。つーかなんでそんなもん掲げてんだって」

「やー初めての海外で食べるもんとか困りそうじゃないっすか」

「コートジヴォワールだもんね、ここ」

「そうっすよ、まさかコートのジヴォに坂之上がいるなんて思わないじゃないですか。すごいショックっすよ、僕」

「うるせーよ、豆腐を食べながら喋るなよ。あと呼び捨て禁止ね」

「確かに!かなり先輩っすもんね」

「先輩つーか歴史上の人物だからね、こちとら」

「あ歴史・ライホなんつったりして(笑)」

「どこの世界に初対面の歴史上の人物に、いきなりそんな太った北欧メタルギタリストを絡めた駄洒落を言うやつがいるんだよ」

「ちょっと静かにしてくださいよ!みんな見てますよ。それでなくっても黒人差別者だって有名なんですから、田村麻呂さん…」

「してねーよ、そんな提唱。誰と間違ってんの」

「あ!またそんなアパルト和歌うたうから市民に囲まれちゃいましたよ!」

「その時点で和歌じゃねえし。オメーが食いかけの豆腐(カメラにも似る)を投げつけたからじゃねーか」

「ヤバイなあ、これ確実に腕つねられますよ」

「すまないだろその程度じゃ」

「わかりました!僕がこのカメラに似た豆腐を使ってなんとか交渉しますから」

「できそうもねーよ。しかし何個持ってんの、それ。って早くも交渉開始し始めたな」

「ヘイ!君たちにはこの豆腐の牛乳のような白さが羨ましいだけなんだろう!?」

「喧嘩売ってるじゃねーかよ、アイツ。あーあ、一番悪そうなの頭にパイ投げよろしく叩きつけたよ、豆腐」

「まずい!暴徒ですよ彼ら!このままだと第二のギルバートオサリバンになりかねないです!逃げましょう」

「逃げるってどうすんの、まさしく黒山の人だかりじゃない。とにかく俺は関係ないから」

「ヒドイ!僕が教科書のあなたの似顔絵に落書きしたのをまだ根に」

「それキング牧師のブロマイドじゃねえか」

「ヘコー!」