山芋ドリーム

そうねえ、あれーはー確か今日くらいだったかなぁ。
その当時はアタシも仕事してましてね、まあいわゆる9時5時男だった。
まーいにち毎日、夕方、お天道さんが落ちるくらいには家に帰ってたんだけども、もうこれが言ってみればなんかにトリツカレたみたいにおんなじ時間キッカリに家についてたんだ。
そいでもって、たぶんあれは今日だと思うんだけども、ちょーっとばっかし家に着くのが遅かった。
今思うとねえ、あーアレが虫の予感なんだろなーなんて思うんです。
ほんでもって、まあ家についてただいまーなんて大声をあげた。うん、まあいつものことなんですけどね。今日に限っては、ピーンときちゃったもんだからね、その声も心なしか震えてた。
そいでもって、部屋に入ったらば、なーんか空気が違う。
なんだろなー、あのー、レストランとかそういったとこに入った感じ。
そこでねえ、もうアタシはシッシで思いましたよ。
あるわけないんだ!普通の団地の部屋がレストランの匂いがするなんてありっこないんだ!
もうね、シッシですよ、だって、そんなバカな話しあるわけない。
あるとしたらコックの霊なんですよ、洋食のね。

そんなんでもってガクガク震えながらナムサーン!と部屋に飛び込んだんだ。そしたらばいつもと変わんない。いつものご家庭が目に飛び込んできた。
ホッとしてアタシ、思わず畳に座り込んじゃった。
そしたら聞こえてくるわけですよ、なぁーんかね、耳元っていうのかなぁ、すごいハッキリ
「ジュージュー」って。
ありえないんだ!そんなことありえないんだ。
ジューシーなね、そんな音、絶対にありえないんだ!
もう心の中で念仏を唱えるしかないんだ!
でもってどんどんどんどん来る、音が。ジューワーって。
それにつられてアタシのお腹もグーって鳴る。
ああー、これがラップ音なんだなぁ、ってもう死ぬんかなぁ、って思って意識が遠くなりかけた。
「できたよー!」
よせやーい!なんてアタシの意識があの世から、あるんならばあの世ですよねえ、あそこからズーッとその声に引き戻された。
そしたらばねえ、開いた目の先にこんなものがあったんですよ。
あのーちょっと後列の方には見えにくいかもわかんないんですけど、ええ、写真なんですけども。
これ


ありえないんだ!宮崎の名物が目の前にあるなんて!あっちゃならないんだ!ここは東京なんだから!
そしたらばねえ、お嫁さんが言うわけだ
「アタシが作った!」
アタシもねえ、完全に腰が抜けちゃってでもって本当に驚いた。
でもねえ、これが夢じゃない。夢なら覚めないで欲しい、なんてねえ、ミスターミヤギのお父さんは言ってましたけどもねえ。うん。
で、サクサクサク。
もうねえ、あたしもシッシですよ。シッシでサクサクした。
中身はジューシーで、まるで生きてるみたいなんだ!
これはねえ、もう夢うつつですよ。
ひととおりサクサクしてジュワっとして、終わりかなあなんて思ってた。
そしたらば
「ジュワ〜」



完全にねえ、憑依ですよ、うん。モグモグが止まらない。ズーッとモグモグモグモグモグモグしてる。
ああ、甘いなあなんて言いながらね、スゥッと意識が遠くなったんですよねえ、ええ。