スーパー・セッション・トランプマジックス

1週間前
「お尻がプリンプリンになる装置を開発しました」
「君は本当にやる気があるのかね?」

3日前
「プリンプリンになったお尻を元に戻す機械を発明しました」
「え!まじで、というか君まだお尻プリンプリンだよね」

昨日
「プリンプリンになったお尻を人にうつすメカを発明しました」
「またか・・・っておい!私にか!」

今日
「先週作った機械を出したまえ」
「今日からオーストラリアに旅行にいってきます」

ノンノンノン!

え?
僕は思わず振り向きましたよ、ええ。
筋をつっぱらせながらおよそ90度に捻じ曲げた首が痛い。
肩越しにはフランス人ドラマーのピエロが、なんとも不満だという表情で、こちらをご覧になっているというよりもお睨みになっております。
僕らのバンドはファイブピースなんですが、件のドラマー以外は全員日本人です。
バンド名は「4こんにちは&1シルブブレ」
そのシルブブレが僕を今まさに射落とさんと眼力を発揮しておるわけで。
怖いっちゃあ、怖いんですが、シルブブレの肩にとまった蝉がなんともユーモラスで思わずほころぶ僕の頬。

ピエロがいくら苛立った声で叫ぼうとも、それっとあわせて油蝉が鳴くものだから何言ってるんだかわかりゃしない。
ジージーワ)ル・マーイエ(ジー)ソルネ(ワ)!
こりゃあ新しい音楽が僕らには生まれたのかもしれない。
いつまでも阿波踊りとジャズの融合なんて目指してる場合じゃなかったんだ。
笑い転げながらそう思った瞬間、ジュワッと蝉がフランス人ドラマーの肩から飛び立って、青空の彼方に消えました。
寂しそうに、ひと夏の珍入者の跡形を見つめるフランス人を見つつ「これからは外じゃなくてスタジオ借りよう」と僕はひとりごちたのでありました。