フライドオニオンストーリーズ ガッデム

PRIDE31はナンバーシリーズにしては近年まれにみる大盛況で幕を閉じた。
大会前夜まで色々な場所で「地味すぎる」「メインがアレかよ?」という声ばかりを目にし、実際大会序盤までは確かに会場の空気も盛り上がるまでには至らなかった。
発表では2万人の集客。2003年のグランプリの半分である。これを見ても今回の31へのファンの期待の薄さが伺える。
たが、終わってみれば、である。

最後の盛り上がりに至るまで他のカード(TKとか)の貢献もあったが、全体を見ると、9試合中、アクシデント決着(空挺さんのもたぶんそう)が2つと、普段であればかなりアレな気分で会場を後にしたことと思う。

そんな空気を最後の最後ひっくりかえしビックサプライズをもたらしてくれたのがハントと西島だった。
地上波放送(どうやら3月4日の模様)を心待ちにしている人のために結果は出さないが、本当に感動をした。

試合中、不利になる西島を後楽園ホールさながら手拍子で応援する人々。
こんな光景はいままであまり見たことがない。

グラウンドなどの技術的な面で言えば、それはとてもつたない物だったかもしれない。ハントにしても西島にしても。
西島のボクシングテクニックは素人目に見てもスゴイと思ったが、それがハントには通用しないのもわかった。

だが、観客を飲み込むほどの熱戦。

僕はロッキー4をなんとなく思い出した。
打たれても打たれても前に出るロッキーバルボア。ラウンドが進むたびに冷静だったドラゴも同じように顔をボロボロにしながら打ち合いをする。
西島の男気がハントを動かし名勝負となった。
これは相手のハントのファイトスタイルもかっちりはまったからこそだろう。

試合後、PRIDEのオフィシャル掲示板に書き込まれたコメントには西島に対する絶賛が殆どだった。
同じくらい西島無差別級グランプリ出場への疑問などもあったが、「もう出なくていいよ」ってコメントが無いのも面白い。
やっぱり皆、まだ見たがっているんだなぁ。

中には「本当の寝技マスター(ファブ先生とかアローナとか)とやれ」という意見も見えた。
しかしそれは期待の表れであろうとも思う。

今まで"元○○"という肩書きの選手がPRIDEやK-1に何人もやってきた。
特に"元プロボクサー"の肩書きを持った選手は、未知なる領域である足への攻撃に挫折したりして消えていった。
だが、洋介山にはそれを克服しようとかそういう空気もない。
なんとも不思議な人なのだ。それは寡黙である彼の性格にもあるかもしれない。遮二無二頑張っているとか、どこかクールに決めているとか。そんなものはこれっぽっちもないのに、なぜかカッコイイ。
悟りを開いた坊さんとかに近い雰囲気。
彼はきっとこれからもPRIDEに出場しつづけるような気がしてならない。飄々としながら。

西島洋介。これからも見てみたいと思う選手だ。



枕元のガッデムクロックがジリジリ鳴りやがるので目が覚めた。
まあまあいい目覚めだ。
今日のガッデムワークは昼からだ。今は10時。まだまだ余裕があるぜ。
ご機嫌なステレオシステムズ(レディオ)をご機嫌なカントリーチャンネルにあわせる。
OH!サブロウ・キタジマか。ファック!彼は今まで生きてきた中で最高の(鼻の穴)シンガーだな!だな!

ガッデム!雄たけびをあげつつシャワーのファッキンコックを捻る。
冷てェ!
なんてこった!このクソ寒さはなんだ?
ガッデムファッキン(NOTキタノ)シャワーをひっつかみ、グルグル回したら先っぽが取れた!
ジーーーーザス!
これじゃあお風呂に入れないじゃないか!

シット!叫びつつ、オールヌードで部屋に飛び込む。
グレイト!なんて暖かさだ。

ガッデムクロックを見る。
ジーーーザ・・・いい加減飽きてきた。ファック!もう時間じゃないか!こんな格好でグズグズしてる暇はない。
ボスの「君、クビね」という声が聞こえるようだぜ!デーーム!

すぐさま重い尻を持ち上げて、ストライプのオーダメイドスーツ(コナカ)に着替える。オボッサム!なんて華麗な着こなし。
軽くコロン(米ぬか)を振る。これで秘書のベイブ(45歳)もイチコロ。あいつがまるでカレッジフットボールの花形をみるような目つきでオレをウットリ見つめるのが目に浮かぶぜ。

クラッシュ!ハーレー(YAMAHA)に跨り、キーを回す。
SWEEET・・・素晴らしい。頼むぜ、相棒。甘美な走りで今日もオレをダ(イナミック)(シャンプー&リ)ンスさせてくれ・・・

国道をブッ飛ばし(40km)、いきつけのBARへ向かう。腹ごしらえしとかないとオレも相棒もガス欠になっちまうからな。

BARの扉を抜けると馴染みのワルどもが雁首並べて飯を食ってやがる!ガッデム!ナイスフェイスども!
「よう、今日は遅かったじゃねえか!」
おっと土建屋のミスター次郎か、こいつはラッキー。シャワーを治してくれ。

お決まりの席に尻を乗っけ、マダムに指を鳴らす。
グランジ!なんてイカしてやがるんだ!オレ様は。完全にキマった。

「アジの開きと目玉焼き。生まれたてみたいにベリーレアで頼むぜ」

「は〜い、アジ定いっちょ〜」
マダムが面倒くさそうにコックに告げるのを見届けて外を眺める。

メシをかっくらい、颯爽と店を出る。
マダムが名残惜しそうに声をかけてくる

「食い逃げ〜!」

まあまあ落ち着けよ、今夜は寝かせないぜ(桃鉄で)

またしてもベリーグッドデザインハーレーを飛ばす。
オレには時間が無いんだ!

気持ちよく走っているとミラーに何かが映るぜ。
fum・・・こいつぁたまげた。ガッデムコップじゃねえか。
ここはひとつ"悪魔のトンカチ"と恐れられたこのハーレーで引き離してやるとするか。

「はい、そこの原付止まって〜」

ガッデム!オレのスウィートエンジェルは本日ご機嫌ナナメらしい。まさかあんなヘッポコガッデムコップに並ばれるなんて。

仕方ないから止まってやるか。
おっと、ファッキンコップ。オレの愛車にその汚ぇ指をちょっとでも触れてみろ、"悪魔のパンチDEデート"と呼ばれた拳をお前の面に叩き込んでやる。

「ちょっとスピードオーバーだねー免許出して」

ファック!なんだって?オレ様がスピード違反だと?このファック(ルベリーフィン)野郎!その顔を蹴り上げ(スネ骨折)てやろうか?

「すいませんでした」

よし、キマった。

コップから開放されて再びハーレーを飛ばすぜ(30km)。
おっともうガッデムビルディングに到着。さすがオレ様だ。二段階左折はお手の物だ。

エレベーターに乗り、マイガッデムオフィスへ。
ファックボスがしかめっ面してやがる。HAHAHA!なんてザマだ、昨日の晩飯にゴキブリ入りのシチューでも食ったか?
ここはいっちょ"ナポリの陽気なアフリカ人"の異名を取るオレ様が慰めてやるか。

「遅くなってすいませんでした」

キマった!満場一致でガッデムエクセレントだな。

「うん、もう来なくていいよ」

GELAGELA!なんだってそんな面白いジョークが言えるんだボス!
あんたはさすがオレの見込んだだけのことはあります。
いえ、あのですからほんともう遅刻とかしませんから許してください。