レッスルマニア

ということで、プロレス好きを名乗ってるくせに「レスラー」を観ないとは何事だ!と周りから非難轟々だった僕ですが、やっとのことで鑑賞することができました。

初っ端から轟音で鳴り響く80年代メタルに興奮を隠せません。
簡単に内容を説明すると、インディーズ団体でホソボソとレスラーを続けている元花形レスラーが、心臓発作で倒れたことをきっかけに、今まで蔑ろにしてきた家族や周りの人間の事を考え始めるが・・・
という、プロレスファンであれば(特にアメリカンプロレス)グッと来る話。
レスラーの現実とは何か?まさに命を削りレスラーとして生きる様が切ない。
プロレスという特殊な世界では暖かく迎えられるが、外の世界では何一つ希望が見いだせずもがく主人公。

この映画は、ミッキー・ロークの名演(あの年であのシェイプ)も素晴らしいですが、観る人それぞれに違った「レスラー像」が現れてくるのもまたひとつの魅力なのではないでしょうか。

アメリカンプロレスのレスラーはショウを全面に押し出していることもあって、一発はまれば映画俳優のように大人気を得ることが可能です。
例えばホーガンや、アンドレ、ロックやスティーオースチンなんかその典型だと思います。
ですが、そういったレスラーでも人気頂点に君臨する期間はそう長くはないのです。
ですからビッグネームと呼ばれるようなレスラー以外に、この映画の主人公のようにパッと売れて、その後、すぐに下降線を辿る選手たちも星の数ほどいました。
星の数ほどのレスラーの中には、実際、ステロイドの副作用で体がボロボロになって病気になってしまった選手や、昔の栄光を忘れられず、苦悩し自殺した選手もいました。
そしてそんな選手を大好きで彼らの訃報や悲劇を悲しんだファンも。
ファン達は自分のお気に入りだったレスラーを主人公に投影し涙を流したのではないでしょうか?
僕はこの映画の主人公に、ドラッグに走り、自ら命を絶ったケリーフォンエリックを見ました。
ああ、切ない。

ではっ