K-1

最近、僕の住む団地の同じ階に、玄関の扉が開けっ放しのお宅がある。
どうも最近引っ越してきたらしい。

三者的にみたドアは"いつでも閉ざされているのが当たり前"だという自分勝手な思い込みがあったので、件のお宅の玄関だけがおおっぴらに白日の下晒されている光景は、なんとも異質である。
最初、それはただ単に空気の入れ替えをしいるだけだと思っていた。
とある友人が「新築とかさ、引越ししたばかりの部屋の独特な匂いってあるじゃない。あれ、嫌いなんだよね」と、扉という扉が全て開け放たれた4畳半の部屋で団扇をしきりにバタバタさせながら言っていたのを思い出したからだ。
その時は、そんなことを思いながら特に気にも留めず通り過ぎた。
それから1週間の間、扉は開け放たれたままであった。
好奇心というものはどんな些細な事柄にも反応するもので、まじまじというわけではないが、そのお宅の前を通る時になんとなく目線を横にずらしてみた。
一瞬だけ、廊下の真ん中に置かれた椅子に座る人影を確認できた。
妙な気分になったが、人の存在を確認できたので少し安心をした。

その翌日、久しぶりに会った友人と飲み明かしているうちに帰宅が深夜になった。
エレベーターホールを良い加減で抜け、ギョッとした。
また開いている。
午前2時を回ろうとしているのにも関わらず、ハッキリと薄明かりの中に浮かび上がっているのはクリーム色の扉と(普段なら部屋の中からしか見えない)郵便受けであった。
毎日昼間に開け放たれている扉。夜は閉じていると思っていた扉。
それが、開いている。
何が、というわけではないが、異質な恐怖を覚え体中ゾワゾワと総毛立った。
それでも、ほろ酔い特有の気の大きさと好奇心で歩を進めた。部屋の中からはなんの気配も感じられない。
ゆっくりと部屋の前を通り過ぎる時に、視界の隅を何かが僅かに動いた気がして思わず首を横に向けた。
廊下の真ん中に座る老人がいた。
でもなんだかおかしい。立体感まるでないのである。
それもそのはずだった、それは精巧に描かれた"絵"であった。
意外な事実を知り動けずに居ると、その絵の端っこが少し動き、そこから小さな目が、覗いた。
何の感情も持たない、人形のような白目がちな小さな眼。
人間、恐怖に身体を支配されると何をするのかわからないものである。
にこやかに「こんばんは!」と挨拶をすると、きびすを返し、振り返ることなく自宅へと戻った。
その夜は一睡もできなかった。

今も昼夜問わずその扉は開いているが、絶対に前を通らないように、反対側の階段を使うようにしている。




ということで、昨夜のK-1MAXのメイン、川尻VSまさと(漢字面倒くさい)について少しだけ感想。

入場時の川尻君は落ち着いていて「これは」と思わせる雰囲気。
しかしながら、川尻を上回る、まさと(MASATO)の気合と落ち着き。

ゴング後、あからさまにスピードが違う。
全体、パンチだけのスピードだけじゃなくて、まさとの全体のスピード。川尻の3倍くらい。
川尻は動こうにも、まさとについて行くだけがやっとな風。
ローも大分きかされ、あれよあれよという間にまさとペースになり、KO。
まあ妥当ですね。
中盤、無意識にグダグダなタックルにいったのが全てを象徴していました。

川尻は(手だけ)ヒョードルのような動きしてましたね。あの手品師が「タネもしかけもありませんよ〜」といってるみたいな、あれ。
でも好きなんですよ、川尻。石田君も。


ではっ


川尻VS マサト(漢字面倒くさい)戦については後ほど。

それにしても、MAXのトーナメントよりも他の試合のほうが目立ってましたね。
ブアカーオの試合をなぜ放映しないのか、すごく不思議。