僕らのクワイエットオムライス

先週、雪が降りましたね。

真白になった小学校の校庭を見下ろしてるうちに、小学生の頃の記憶が蘇りました。
僕の住む町にはじめてのコンビニエンスストアが出来た日のことです。
今では当たり前のように乱立するコンビニエンスストアですが、今から20年前、買い物といえば駄菓子屋か近所のマルエツというスーパーしかなかった田舎町に夜の11時まで営業のなんでも屋が開店したのです。
多感で肥満児小学4年生だった僕もご多分にもれず「フランクフルト食い放題」という脈略の無い噂に踊らされ、学校帰りに禁止されているにもかかわらず立ち寄りました。
午後になっても夏の日差しはまだ強く、新装したばかりの店舗はそれはそれは輝いて見えました。
真新しくクーラーの利いた店内は混雑していましたが、ただウロウロしているだけでも楽しく、思わず長居をしてしまいました。
さて帰るか、と自動ドアを抜たところで身体が、というよりも思考が停止しました。
目の前に広がる真っ白な銀世界。その先に見えるどんより曇った空。
驚きと混乱で声すら出せないでいると、50メーターほど離れたところにフードを被ったヒョロリと背の高いひとがこちらに背を向けて立っているのが見えました。
あの人は誰だろう?
その思いが伝わったのかはわかりませんが、そのフードの男がこちらに首を回しました。
カワウソ。
実物のカワウソとは圧倒的に違う、けれどもそう形容するしかないようなヌメっとした何かが僕を見つめていました。

それからの記憶は全くありません。
気がついたのは、祖母の部屋でフトンに寝かされ、母親に祖母が「夏に腕を凍らせるとは、なんのことだろうね」と言っているのを朦朧とする頭で聞いたときでした。
ドアから一歩踏み出した途端に広がった、夏の日の雪原。

少しして祖母が言った「少しでもねじれたとこに隙間はできる、そこにはこっちの人間が知っちゃいけない世界が広がってる」という言葉を思い出して、誰もいない校庭から目を逸らしました。









フリースローに必要ないもの。

・ドブ板
・サカリのついたカジヒデキ
・軍手(破れかけの)
・大阪からやってきたアクの強い転校生(おんどりゃ〜が口癖)
オバQのセル画