異世界

久しぶりに悪夢をみて目が覚めた。

以前見たのは小学生の頃だからもう20年ぶりくらいになる。
その悪夢は自分の中では「本当悪夢」と呼んでいるものだ。
普段でも悪夢は見るが、それとは雰囲気というか、空気とか目の覚め方が違うのである。
普通の悪夢(というのも変な言い方だが)ではガバッと飛び起きるのが常で、内容も悪夢然(さらにこれもおかしな言い方だが)としたものが多い。
バイクに乗って崖ップチをどんどん走ってそのまま崖下に落下するとか、ふと天井を見上げると大量のカタツムリがビッシリと蠢いている、とか。

いわば"想像がたやすい"のだ。または現実にはありえないシチューエーションだとしてもただ単に「突拍子も無い」だけであったり。

本当悪夢(こう命名した小学生の自分を指差し腹を抱えて笑ってやりたい)は現実にも想像にもない変なパースの狂い方をしている。
そして目が覚めたとしてもその世界がまだ続いているような錯覚を受ける。
部屋の空気が同じなのだ。
澱んでいる。
だから目が覚めても大分怖い。

昨日の夢はなんだったか。

自分は横になっていて、周りに白いモヤのかかった人型の何かが話をしている。知っているものに当てはめるとすれば僧侶のように見える。
白い何かは3人いて、その会話を自分はわかっていてぼんやりと聞いている。
突然、白い何かが「押しつぶそう」という。
それは自分の事だとわかっているが身体は一向に動かない。
そして白い何かが圧し掛かってくる。この時点で恐怖感はあるし圧迫感も感じている。
しかし目はまだ覚めない。
白い何かが身体を包み込み呼吸もできなくなった所で目が覚めた。
非常にゆっくりで、まだ圧迫感はある。布団も何もかけてはいない。
そして部屋の空気はモヤのかかったように澱んでいる。

小学生の頃にみたものも内容は違っていたが、澱んだ空気は一緒であった。

変な廃屋とかに足を踏み入れた時のなんともいえない空気が一番近いかもしれない。

異世界はきっといっつもあるんだろうなぁ、とこういうときにフト思うのです。
それに入り込むきっかけ、というかね。そういうのはきっとあるなぁ、と。