プロレスの人

今日、プロレスの人を町でみかけた。
プロレスの人は身長が2メートル14センチくらいあるから人込みの中でもすごく目立っていて歩いている人みんながプロレスの人を見ていた。
何か照れくさそうにあたりをキョロキョロ見回しながら歩いていた。
上半身裸に赤のトランクスという試合のときと同じ格好だのに、怯えたようなその目つきに迫力は全然なかった。
僕はサインを貰おうかとも思ったけど、先週「プロレスの人にサインを貰うのは18歳から」という条例が決まったばかりなので我慢をした。
軽く後をつけていたらプロレスの人は小野田コロッケ店の前で立ち止まってメンチを3つ買った。
3つで足りるのかなぁと思ったけどすごく嬉しそうに食べていた。
全部食べてしまうとプロレスの人はキッと目つきが鋭くなっていきなりその場でスクワットを始めた。
周りの人は驚いていたがプロレスの人はそんなことお構いなしにワッセワッセと大声で叫んでいた。
表情に自身が溢れていてテレビと同じだ、と思った。
きっかり100回数えてから僕は塾に向かって駆け足でその場を離れた。
後ろの方で「人殺し〜」という声が聞こえたが無視して走った。
きっとプロレスの人の必殺技"殺人スクワット"が出たんだな、と思った。周りの人はテレビを見ないのだろうか?

おかしくなってクスクス笑いながら目を上げると夕日がまるでプロレスの人のタイツのように真っ赤だった。