黒い稲妻

バームクーヘンがオヤツと思うなよ


マタイ受難 より

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たかこさんとこで見かけてすげえお菓子だなと思っていたんですがこっちにも売ってましたブラックサンダー

この凄まじいネーミングを冠したこのお菓子について考察をしてみよう。
手につまんでライトの下でしげしげと観察してみる。多少ギラギラしているが、おかし(お菓子だけにという意味を込めて)なところは無い。

持った感触では、どうやらこの袋の中にブラックサンダー本体が収納されているらしく、ごつごつとした感触が指先を通して伝わってくる。このネーミングから、本体は激しい稲光と共に手元に落ちてくるものだと思って避雷針を用意していたのだが肩透かしである。

そして驚く無かれパッケージには「若い女性に大ヒット中!」と書かれている。
なぜに昨今の若い女性がこのようなイカツイ(イカヅチとのダジャレ)ネーミングのお菓子に惹かれるのだろうか?昔でいえば「ドラキュラアイス」とともに強面として双璧をなしていたお手軽ラーメン「カルビラーメン」を若い女性がズルズルとすすっているようなものである。

だが待てよ、とあごに手をやる。
「そういえば最近はイケメン(カルビラーメンとのダジャレ)などの黒くてメンなヤング(ラーメン→ヤキソバ→ペヤングという発想から)が大モテであることを考えればしごく自然なことなのやもしれん」
そう、メモ帳にペンを走らせ、すぐにそのページを破り捨て丸めてゴミ箱へ投げ捨て早速パッケージを開封する。

茶色がかった四角にデコボコが浮き上がった固形物をためつすがめつ眺める。掌サイズである。
このデコボコは世にも有名なUMA「オゴポゴ」の背中の突起ではないか?という疑問が頭をよぎり、水を張った風呂桶に浮かべようかとも思ったが、我が家にはあいにく湯を張った風呂桶しかないのであえなく断念。

両手でもって力をすこしいれると物体は半分に割れた。
否、細かく言うと8分の2に割れた。
いつ来るかわからないイナズマ(もしくはブラックサンダーという名のギャング団)の衝撃におびえつつ片方を食べる。

これはどうやら菓子である。十中八九間違いないといえよう。
所謂チョコレート菓子でサクサクした食感、そしてナッツの香ばしさが心地よい。

しかし、問題点である「ブラックサンダー」というネーミングの謎は解けない。

ブラックはたぶん黒人の経営する工場(ファクツリー)だと考えられるがサンダーはどうであろうか?今のところイナズマも落ちてきていないしSMAPに森某が復帰しているようなこともなさそうである。

落胆した私であったが、なんとはなしに手についた菓子カスをつまみ驚愕した。

黒い粉状のカスがついている。割と大きめの破片は答えを導き出すに十分なものであった。

そう遠くない昔、カミナリに撃たれた村人が大事そうに手に持っていた種もみはきっとこんな風に黒こげだったのではないだろうか?

ブラックサンダーとは「黒き工場長のもとへ種もみを配達しようとした村人が雷で命を失ったことに対する弔いの為のお菓子」だったのだ。

そうか!と私は膝を打った。そしてその反動で肩を脱臼した。

証明終わり。