ネームオブバトン(間違い)

気が付くと、いつものように音も無く、隣に長老が座っていた。
「お前さんはもう去らねばならぬ」
私と同じように真っ直ぐ前を向いた長老の言葉には安堵が含まれているように思えた。
「私は、この島にいたい。記憶も戻らないし、キャリカと暮らしていたい」
長老はいつもの笑顔で立ち上がり、私を家屋へと誘った。

長老にくっついて家屋に戻ると、あれほど頑丈そうに思えた枠組みは崩壊寸前に朽ちていた。
その倒れた木々の間に、こちらを向いてポツンとキャリカが立っていた。
私に気づいたキャリカは、悲しみとも安堵ともとれる曖昧な表情で弱々しく微笑んだ。
「キャリカも行かねばならん」
今まで聞いた事も無いような厳しく、そして重苦しい口調だった。
「いつ?」
長老に向かって放たれた問いにキャリカは頷き、静かに歩み寄ると私の手を取り、初めて口を開いた。

「今夜…そうもうすぐ。でも絆は永遠に途切れない。
あなたは使者だったの、あちらの世界からの。そして元はといえば私も」

その声は、私が思うよりずっと強く、しっかりしたものだった。
いつのまにか島には夜の帳が下りていて、あたりは暗く、そしていつにも増して静かだった。
3人が砂を踏みしめる音だけが月夜に響いた。
私がいつも座っていたあの場所に一隻の小さな船が止めてあった。それは私が毎日眺めていたあの三角の船だった。
月に照らされた長老は何を思っているのか計り知れず、キャリカは金色の髪の毛を垂らしてずっと俯いたままだった。
私が身体を跳ね上がらせて船に乗り込むと、キャリカが走りよってきて私を抱きしめた。
その身体は冷たく、そして抱きしめ返したらポロポロと崩れ去ってしまいそうだったから、彼女のされるがままにしていた。
暫くしてキャリカが身体を離し、私は「行く」瞬間なのだと悟った。
砂浜に立ち必死に涙を堪えるキャリカにひとつだけ手を振り、私は沖へと向かって船を漕ぎ出した。
船は櫂を少しばかり振るうだけで物凄い距離を進んだ。私は小さくなる白い身体をいつまでも目を凝らしながら進んでいった。
そして、キャリカが闇に溶け込み消えると同時に巨大な睡魔と疲労感が身体を包み、規則どおりの波の音がフェードアウトするにまかせて音の無い黒い世界が私を包んでいった。


目を覚ますと、強烈な光が差し込んできて思わず手の甲で顔を覆った。
ここはまだ船の上だろうか?
たっぷりと心の中で10数えてから手の甲をソロソロとずらしてみると、何人かの驚いた顔が私をのぞきこんでいた。
「目を覚ました!」
肌の浅黒く焼けたカレッジジャンバーを着た若い男が嬉しそうに叫んだ。
「あなた!ジムが!ジムが目を覚ましたわ!」
少し年配の女性が涙をその大きな目に溜めながら、後ろで腕を組んで微笑む大柄な男に振り返る。
私が乗り込んだ船は跡形も無く消え、周りは消毒液の匂いで充満していた。
部屋は白く、清潔なシーツが私にかけられている。
身体は重く、まるでベッドに貼り付けられているようだ。
鼻にとおされているチューブ類で私は自分が何かとてつもない病気か事故に巻き込まれたのだと悟った。
私は無表情のまま、腕に刺されている一本のチューブを眺めた。
その先のベッドからは同じく針を刺された、手首にカラフルなアクセサリーをつけた白く細い腕が力なく伸びていた。
「そちらの娘さんは、助からなんだ。」
ヒゲを蓄えた白衣の男が、重々しい口調で首を振った。

「窓を開けてくれ…」
がやがやと騒いでいた皆が、一瞬にして口を閉ざし、看護婦が慌てて窓を開けた。
「ヒュ」と音を立てて、懐かしい花の香りを乗せた優しい風が鼻先をくすぐった。

私は今、全てを思い出そうとしていた。

漁師の操る小さなボートが水平線にチラチラと見える。
晴れ渡る空には大きな入道雲が山脈のように浮だっている。
真っ白い砂浜に腰を下ろしていた私は、コバルトブルーに輝く絨毯のような沖に揺らぐ小船を暫く眺めていた。
いつからだったか、この島に来て、こうやってやわらかい羅紗のような肌触りを尻に感じながら、たおやかな時間を過ごすようになった。
私にはここに来る前の記憶が無い。
数ヶ月前に、この砂浜に打ち上げられていたのを島に住む長老一家に助けられたのだ。
「あんたは神からの使者だよ」
私が己の記憶を手繰り寄せるのに苦労していると、いつのまにか隣にやってきた長老がいつもそう言った。
「記憶が蘇らぬならば、ここでの事を刻めばいい」
そうとも言った。
私の肩に優しく手を置いた長老の眼には、この海と同じく穏やかな風が吹いていた。
この小さくも神々しい島には少しの漁師と長老と一人の娘が住んでいるだけだった。
娘はキャリカといい、島というイメージとは似つかわしくない、透き通るような白い肌持つ華奢な女の子だった。
キャリカはいつも芳醇な花の香りを纏っていた。その花がなんだかはわからなかったが、なんとなく南国のものなんだろうな、と思った。
艶やかな黄金色の髪の毛を揺らし笑顔で砂浜を駆けるキャリカは、遠い日にどこかで見た西洋画のイメージを朧げに思わせた。
「あの娘は生まれつき喋れないのさ」
私が体力を回復させ、床から起き上がれるようになった頃、砂浜をキラキラ光る砂塵を率いて走る彼女をぼんやりと眺めながら長老は言ったことがあった。
回復してからというもの、野生の木を括って拵えた、見た目よりも驚くほど頑丈な平屋の家屋で私はキャリカや長老と長い時間色々な話をしてすごした。
長老がいない日は、日がな一日、私はキャリカと砂浜を歩いたり時には島にある森の中を散策したりした。
キャリカは言葉が話せないというハンデをそのぶん豊かな表情で、言葉以上の感情を私に伝えた。
ある日、朝の早い時間に二人でいつものように水平線を眺めていると、キャリカが突然私の目の前に手の平を上にして腕を差し出してきたことがあった。
いくら日差しを受けようとも、深雪のように白く細い腕がなんだか艶かしくもあり私がどぎまぎしていると
屈託無く笑うキャリカが、人差し指で一点を指した。
その先には雪原に落ちる棗の実のような小さな赤い傷が"ポツン"とあった。
「これは?」
私が問うと、キャリカはもう一度笑って、「絆」と砂浜に書いた。手首に填められた色とりどりの縄を編んだアクセサリーが静かに揺れた。
"きずな"
私が考えあぐねていると、彼女は立ち上がり、この海と同じブルーの瞳で水平線をいつまでも眺めていた。


金汰くんから。下段蹴りフェイントからの毒霧(長い)の中に入っていたバトンが顔に直撃したのでちょっと答えます。



■■■名前バトン■■■


●あなたのHNはなんですか?
 
肉弟です。

●由来はなんですか?
 
大正のころ、貧困にあえいでいたとある村が、そこで生まれた生後1歳〜3歳の子供(娘)を口減らしの為に村を流れる川に流したのが始まり。
その際、子供は着飾られていたという。
これが「雛流し」と呼ばれるもので、現代の"ひな流し”の源流とも言われている。ただし現在は「着飾った人形を流す」のがしきたり。
「口承・現代祭事事情」より抜粋

上記はもちろんすべてフィクションです、しかもとあるゲームから殆ど丸パクリです。

で、自分の名前の由来は、「肉が好きな弟」という非常に単純且つ、がっかり度合いの高いものです。ごめん。


●差し支えなければ本名もお願いします。
 
 肉"野菜"弟 です
 
●過去に使っていたHNを教えてください。
 
今も同時に数種類使ってます。
青と汁 とか 

本当に過去になてしまったのは

肉うどん

とかいっぱいです。


●過去につけられたあだ名を教えてください。  

この間、ひょんなことから思い出しました。
一回だけつけられたのがあります。
でも定着しないで2日くらいで廃れました。

クロバット○野(苗字) 

そりゃあ定着しないよなー

●今までこの名前かわいいと思った名前はありますか?
 
ムーシカミーシカ ってカワイイ名前だよね。
綺麗だなぁ、と思ったのは「葵」さんという名前。
日本舞踊とかやってるかと思いきや、すげえレゲエな人でした。

●一番大切な恋人にはなんと呼ばれたいですか?

肉、とかでいいですよ。
内とかでもいいです。
丙とかちょっと捻られるともっといい。


●HNと本名どちらが好きですか?

好き、とか無いです。
「名前だなぁ」くらいの認識しか。
 

●また生まれ変わってもその本名でいたいですか?
そんな拘らないです。
でもアフリカ人とかに生まれ変わったらどうすんだろ。

●回す5人

これはここでストップすかね。
やりたい方はご自由にお持ちください。