外を見る

保育園の頃、一度だけ夢か現実かわからない体験をしたことがある。

冬のある日、午睡の時間にふと目を覚ました。
寝ぼけ眼で薄暗い部屋を見渡すと、並べられた布団に膨らみがない。
上半身を起こすと先生と他の園児達が並んで窓の外を見ている背中が見えた。
じーっと動かず喋ることもなく、ただただ外を眺めているようであった。
理由はわからないものの見てはいけないものを見てしまった気がして、すぐに頭から布団を被り寝た。
午睡のあともいつものように時間は過ぎ
その日は特に何事もなかったように終わった。

今思うと夢だったのかとも思うが、彼らの見つめる先には何が見えたのだろうか。
窓を覆った分厚いカーテンの先に。