ドゥドィドゥディな散歩者

散歩。
この季節、晴れていれば空も高く気温も穏やかであるので、少し歩いて周りの景色を眺めるには最適である。
だがしかし(or DIE)、歩けども歩けども、鉄筋コンクリート製のガタイの良さげな建物がニョッキリと蔓延る場所に住んでいると、少し足を延ばして郊外へと出かけてみたくなる。

まだ日差しも弱く、歩いても汗をかく心配(替えのTシャツを持っていないため)午前10時ごろであろうか、家を出て気の向くままに到着したバスに乗り込めば散歩の開始である。
タラップを上がったら、速やかに最後尾の席に移動する。
なぜなら、私の体躯が巨大だからで(太り、ともいう)、最後尾以外のバスの座席だと確実にエコノミーな症候群に陥る危険性があるからだ。
腰を落ち着けたならば、車窓から、流れる景色を楽しむ。
そして、酔う。
私は乗り物が基本的に苦手である。車、飛行機、電車、果ては人力車。
これら全てで「酔う」。
だが、心配しないでいただきたい。私は「酔う」事にかけては日本一だが、エチケット袋を利用しないことでも日本一だからである。
というよりも、エチケット袋を利用しないタイプの「酔い」であって、頭が少し痛くなる程度なんである。
「酔い」により、テンションは軽く下がるが、周囲には気付かれぬように「ほほう、あそこにはマンションが建つのか」などとひとりごちる。
あくまで私は散歩者なのであって、バスにすぐ酔って男ではないからだ。
さて、悪夢の時間が過ぎ、あてもなく終着駅に降り立ったらあたりを見回す。
やはりビルばかりである。しかも見飽きたようなデザインばかりだ。
私は散歩者として大変な失格者である。と自覚する。
心底残念だが、そこらへんのラッピングバスで行ける距離などたかがしれているのだ。
帰り道すがら、きっともうバスには乗るまいぞ、といつも思うのだが、すっかり忘れてまた乗るんである。
なぜなら日本一忘れっぽい男だから。
散歩についてはなんら楽しい話もなしだが、それでいい。
ではっ