CDレビュりブル〜御大2〜

そろそろしないといけない気がしてきました。

日記でたまに書かれる「祖母の話」はやはりというかなんというか何割かは脚色されております。
重要と思われる部分についてはほぼ事実を書き記しておりますが、脚色部分についてはいちいち明記いたしませんので読んだ方の見解にお任せします。

ではッ!

なんだか思わぬ反響があったようで。

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祖母の一家の周りでは夏の盛りに必ず一人は誰か亡くなったそうで、毎年夏になるとお葬式があがるのが普通であった。
子供の頃は「夏は必ず人が死ぬ」ものなのだと祖母は思い込んでいたらしい。また不思議なことにその時期は不思議な現象を見たり聞いたりすることが一切無くなるので、不謹慎ながらも「早く夏にならないだろうか」とも思っていたそうだ。
叔父が居候をし始めたその年の夏もやはり例の如く葬式が出た。
入水自殺で亡くなった豆腐屋の息子さんの葬式に、父に手を引かれた祖母に続いて、なんだか嬉しそうな表情をした叔父までもが着いて来た。
「嫌ぁな顔をしていたねえ。まるで火事場をニヤニヤ見つめる野次馬みたいだったよ」

豆腐屋の狭い家屋で、叔父はキョロキョロと参列者を見回していたが、それ以外はこれといって目立つことをするでもなく大人しく座っていた。
葬儀が終わりに近づいて喪主と親類が棺桶を担いで重々しく通り過ぎるのを何とはなしに眺めていた祖母は耳の後ろに唐突に生暖かい気配を感じた。

「見えるんだろう?」

叔父の声だった。あまりの衝撃とそのなんともいえない囁き声の嫌らしい声色に祖母は立ちすくんだ。

「見えるんだろう?」

腐った魚を思わせる生臭い息がかかる。祖母は振り向かなくともニヤニヤしている叔父の表情がありありとわかったという。

「何が?」
祖母が絞り出すように言うと、叔父は耳元で囁いた。
「あの棺桶をかついでたやつ、もうすぐ逝くな。なんだ、また川か」
「それがお前にも見えたろう?」

祖母は頭の裏側がジンジンと熱くなるのを感じたそうだ。
「見えない。そんなの見えない」
実際、祖母には何も見えなかったからそう言った。すると叔父は小さく舌打ちをして何処かへ行ってしまった。
祖母は葬儀が終わっても暫くその場を動けずに、父に引っ張られて家に帰ったそうだ。
それからというもの、祖母の家族に対しても「お前は今日怪我するぞ」などといってはそれが現実になると笑っていたのでさすがの父も辟易していたそうだ。

叔父はそれ以降も変わらなかった。そしてその次の年の夏、喪主が亡くなった。同じく入水だったそうである。

祖母はその葬儀には出席しなかった。
叔父の囁くような、そして残念そうな「なんだ、また川か」という言葉が頭を離れず、寝込んでしまったからだ。

それから2年程叔父は居候をしていたが、来たときと同じように忽然と姿を消し行方が知れなくなった。

祖母はあの時の叔父がニタニタ笑いながら囁く声を思い出すと背筋が凍る思いだという。



やはりというかなんというか、件の祖母は昔から不思議な体験やこの世のものでは無い(と思われるもの)を見るということが少なからずあったそうだ。
壁を抜ける人影や、人気の無い蔵に何人もの人がお経を唱えている声が聞こえたりというのはそれこそ日常茶飯事だったそうだ。
私が幼少の頃にもそういった祖母の言動やなんやかやがあったんだろうとも思うが、一向に思い当たる節が無いのが不思議だったが、祖母いわく「そんな事を言ったらそれこそ(気が)ふれてると思われる。それにその頃にはもう慣れた」という思いから私の母や孫である私には極力その気を悟られまいと必死だったそうだ。
縁側にチョコナンと座り、やんわりそう話す祖母はただただ日向ぼっこが似合うだけでそんな苦労があったことは想像も出来なかった。

怪異憚には事欠かないどころか、至って迷惑だと語る祖母に怖いものは無いのか尋ねてみたら意外な答えが返ってきた。
祖母は「叔父」が一番怖かったそうである。
祖母の叔父であるから、もう百年も昔の人物になるだろうか。
叔父は族に言う、「千里眼」であったという。

叔父にその能力があると祖母が気が付いたのは、東京に住む祖母がまだ5つか6つの頃、京都で商いをしていた叔父が転がり込んできた時だという。
叔父は新しい商売のために(祖母の)父に借金を申し入れてきた。
以前の商いはつぶしてしまったが、これは叔父が飽きっぽい性格なうえに大の博打好きだったからだそうだ。
夜の夜中に座敷にボソボソと響く叔父と父の声を、隣の部屋でうつらうつらしながら祖母は訊いていた。
幼かった祖母でも話の内容はある程度飲み込めるくらい、叔父の話し振りは露骨であったという。
「借りた金は何倍にもして返す」「ワシには神さんがついてる」
そんな叔父の一方的な会話を遠くに訊きながら祖母はなんとなく不安な気持ちで眠りに落ちた。

翌日から叔父は居候するようになった。
父の源三郎は叔父と同じ商売人であったがこつこつと稼ぐタイプで、人当たりも良かった。頼まれごとをされると一も二もなく助けてしまう、典型的なお人好しであったから肉親の頼みごとであれば尚更なのであった。

祖母に対しての叔父はまあなんというか、あからさまに嫌悪を示したそうだ。廊下ですれ違っても目もあわせない、まるでいないかのような態度。
それはきっと祖母の持つ得体の知れない何かを同属として感じ取っていたのではないだろうかと私は思う。

祖母は関わり合いになりたくないので叔父のほうから接触してこないのは好都合であったが、父と叔父とが連れ立って何処かへコッソリと抜け出していくのを見るのはとてつもなく嫌だったそうだ。
そしてある日、祖母が叔父の千里眼を見抜くきっかけとなる事件が起きた。






THE LAST IN LINE/DIO

1.We Rock
2.The Last In Line
3.Breathless
4.I Speed At Night
5.One Night In The City
6.Evil Eyes
7.Mystery
8.Eat Your Heart Out
9.Egypt(The Chains Are On)


メタル界のもう1人の御大ヴォーカリストといえばこの人は外せません。ロニージェイムスディオ率いるメロディックハードロックバンドの2枚目。
このDIOさんは割とギタリストをとっかえひっかえするのが好きなお人なのですが、その中でも初期の1,2枚目のギタリストを務める"ヴィヴィアン"アゴ割れ"キャンベル"が巷ではベストだと言われています。
ケツアゴなヴィヴィアンのプレイは荒削りながらもその速弾きはピロピロしていて素晴らしいです(ケツアゴ関係ない)。
その荒削りさが吉と出たのか、楽曲は1,2枚目とも奇跡の出来。3枚目以降の低迷振りが涙を誘います(個人的には4枚目までは好き)。
メタル北島三郎と評されるDIOのコブシブンブン回しまくり歌唱法はこのアルバムでも全開です。

「俺たちロックだぜ!」と恥じらいもなく歌い上げるスピードナンバーの1や相変わらずビデオクリップがすごい事になってるメロディアスなミドルナンバーの2になどが人気が高いですが、個人的には御大のファンタジック路線が色濃く出た5,6の流れが大好きで、今のハリーポッターブームを巻き起こしたのはこの流れがきっかけではないか?というのは物凄く過言です。