愉快犯

昨日ちょっと気まぐれにタクシーに乗ったんですが、運転手さんが開口一番面白すぎて死にました。
ちょっと離れた交差点で客待ちでしていたので手を挙げたんですが、たかだか5メートルくらいの距離をすごいスピードで迫り来て、僕から3メーターほど離れた所でタイヤを軋ませ停車。
そして、森の中の湖を遊ぶ水鳥のような優雅なスピードで僕の前までバック。
スーッですって、スーッ。

まるでクレイジータクシーの世界に紛れ込んだかのような錯覚を覚えつつも、とりあえず乗車。
そして開口一番

「ビックリしちゃったよ」

それは僕のセリフです。

サプライズドな挨拶に度肝を抜かれ(notアラビアの)ロレツの回らない舌で「か、葛西までおねげーします」と行き先を告げ出発進行。

「えーっと川のとこ?」

範囲広いな!吟遊詩人じゃないんですからこちとら。

先行きが不安で仕方ありませんが「道案内しますから」ということで厳かにに走り出すドタバタおのぼりさんのような僕ら。

走り出すと運転手さんの軽快なトークが始まりました。

「で、ボーリング部はオレが作ったからさ」

「この(タクシー)会社に新人が入ると、まずボーリングだね」

「ボーリングやらして、「おめえへったくそだなぁ!」って言ったあとにコーヒー(120円)をパッと渡す、これが飴とムチ」

ボ、ボーリング星人現る!
知りませんよ、そんなこと。

あ、「で、ボーリング部は〜」これがトーク開始のセリフだったんですが、脈絡無さ過ぎ。「で、」の前を教えなさいよ、ホント。

で、笑いを噛み殺して相槌を打ったり「あ、そこはまだ真っ直ぐで」とか指示を出したりしてたんですが、気づいたらもうすぐ家の近所というところまで辿り着いていました。奇跡。

笑いと安堵でフホッと胸をなでおろしつつ、「あ、じゃあそこの横断歩道の手前でいいです」

と最後の指示を出すと

「え!?さっきの横断歩道?」

違うよ!
ここでもう堪えきれずにゲラゲラ笑い、「ギャハハハハ!そこですって!いまちょっと通り過ぎたゲラゲラゲラ!とこ!」

「ああ〜そっちかぁ(テレ笑い)」
キキッと車を止め、またしてもバックで横断歩道手前まで戻ったのでした。

いやあーほんと素敵な体験をさせて貰いました。ありがとう、ボーリング(タクシー)の人!